― 人が安心して力を発揮できる環境には理由がある ―
どんな職場でも、ミスは必ず起きる。
人が働いている以上、ゼロにすることはできない。
けれど、
「ミスが連続する職場」と「ミスが自然と減っていく職場」
には、はっきりとした違いがある。
私はこれまで、
・ミスが起きるたびに責任追及が始まる職場
・ミスを仕組みで防ぎ、改善が自然に進む職場
の両方を経験してきた。
その中で強く感じたのは、
ミスが減る職場は“人が萎縮しない環境”をつくっているということ。
この記事では、
マネジメントする側にも、弱い立場の人にも役立つように、
ミスが減る職場の共通点をまとめてみたい。
1. ミスを“個人の能力”ではなく“仕組みの問題”として扱う
ヒューマンエラー研究では、
ミスの80〜90%は個人ではなく“環境要因” とされている。
つまり、ほとんどのミスは「人が悪い」のではなく、
仕組みや情報の流れに問題があるということ。
ミスが多い職場ほど、
「誰が悪いか」を探す文化が根強い。
- なんで確認しなかった
- どうして気づかなかった
- もっと注意していれば
こうした言葉が飛び交うと、
人は萎縮し、次のミスを恐れて動けなくなる。
一方、ミスが減る職場はこう考える。 - どこに落とし穴があったのか
- どうすれば次に防げるか
- 仕組みでカバーできないか
ミスを“個人の失敗”ではなく、
“改善の材料”として扱う。
この姿勢が、ミスを減らす一番の土台になる。
2. 情報が整理され、流れている
海外の調査では、
情報共有が不十分な職場は生産性が最大25%低下する
というデータがある。
ミスの多くは、能力不足ではなく“情報不足”から生まれる。
- どの手順が最新なのか
- どこまでやればいいのか
- 誰が何を担当しているのか
これらが曖昧だと、
人は自分の判断で進めるしかなくなり、結果としてミスが増える。
ミスが減る職場は、
情報を整理し、必要な人に届く仕組みをつくっている。 - 手順書を最新化する
- 共有フォルダを整える
- 朝礼やチャットで情報を流す
小さな工夫の積み重ねが、ミスを大きく減らす。
3. 質問しやすい空気がある
心理的安全性の研究では、
質問しやすい職場ほどミスが減り、離職率も低い
という結果が出ている。
質問しづらい職場では、
人は「聞いたら怒られるかも」と思い、
曖昧なまま進めてしまう。
その結果、ミスが起きる。
ミスが減る職場は、
「わからないことを聞いても大丈夫」
という空気がある。
- ちょっとした確認
- 手順の再確認
- 不安な点の相談
こうした小さな対話が、ミスを未然に防ぐ。
質問しやすい空気は、
安心感と信頼の積み重ねでつくられる。
4. 現場の声が改善につながる
改善活動の研究では、
現場の声を拾う企業は改善スピードが2倍以上
というデータもある。
ミスが続く職場ほど、
現場の声が届かない。
私は過去に、
意見を言うと評価が下がったり、
改善の提案をすると“逆らった”とみなされるような環境で働いていた時期がある。
現場の声が届かない職場では、
ミスの原因が放置され、同じ問題が繰り返される。
逆に、
現場の声が改善につながる職場は、ミスが自然と減っていく。
5. 小さな成功を拾う文化がある
ミスばかり注目される職場では、
人は「どうせ怒られる」と思い、改善の意欲を失う。
ミスが減る職場は、
“できたこと”を自然に認め合う文化がある。
- ちょっとした改善
- 小さな工夫
- スムーズにできた作業
こうした成功を拾うことで、
人は「もっと良くしたい」と思えるようになる。
ミスを減らすのは、
叱責ではなく、
小さな成功体験の積み重ねだ。
まとめ
ミスが減る職場は、特別なことをしているわけではない。
- ミスを責めない
- 情報が流れる
- 質問しやすい
- 現場の声が改善につながる
- 小さな成功を拾う
この積み重ねが、
人が安心して力を発揮できる環境をつくり、
結果としてミスが自然と減っていく。
もし今の職場でミスが続いているなら、
それは“あなたの能力”の問題ではなく、
環境の問題かもしれない。
そして、環境を整える立場にある人には、
小さな工夫で現場が大きく変わることを知ってほしい。
働く人が無理なく力を発揮できる職場が、
一つでも増えていくことを願っている。