心理的安全性が高いチームが実践するマネジメント改善術
2.はじめに
職場の人間関係に、こんなストレスを感じたことはないだろうか。
- ささいな会話で優位性を示そうとする同僚
- 他人の失敗を必要以上に指摘する先輩
- 成果よりも「誰が上か」が重視される空気
いわゆる 「マウント文化」 がある職場だ。
この状態では、仕事そのものよりも
「自分の立場を守ること」 にエネルギーが使われるため、生産性は確実に下がる。
実際、職場環境の改善相談でも最も多いのが、この人間関係ストレスの問題だ。
しかし結論から言うとマウントは性格の問題ではない。
多くの場合、組織の設計ミスが原因で起きている。
そして鍵になるのが「心理的安全性」 である。
3.心理的安全性が低いと、なぜマウントが起きるのか
心理的安全性とは、
- 意見を言っても否定されない
- 失敗しても責められない
- 質問しても評価が下がらない
と感じられる安心感のことだ。
Googleが行った大規模なチーム研究でも、
成果を出す組織の最大の共通点は心理的安全性の高さ だったと報告されている。
逆に心理的安全性が低い職場では、
- 失敗=評価が下がる
- 質問=能力不足と思われる
- 成果=取り合いになる
という空気が生まれる。
すると人はどうなるか。
✔ 「協力」よりも「防衛」を選ぶ
その結果として現れる行動が、マウントだ。
他人より上に立とうとするのは自信の表れではなく、不安の裏返し なのである。
4.私が経験した“マウントだらけの現場”
以前、物流倉庫の管理を任されたときの話だ。
そこは典型的なギスギスした職場だった。
- ベテランは新人に高圧的
- ミスは朝礼で公開叱責
- 情報は共有されず「見て覚えろ」が基本
その結果、
- 質問が出ない
- ミスが隠される
- 陰口が増える
- 離職率が高い
完全な悪循環だった。
当初は「この人たちの性格が悪いのだろう」と思っていた。
しかし、それは間違いだった。
5.マネジメント方法を変えたら空気が一変した
私は「人を注意する」より先に、
職場環境そのものの改善 に着手した。
具体的には次の5つを実行した。
① 評価基準を数値化して公平にする
曖昧な評価は不安を生み、比較や攻撃を誘発する。
② 作業手順をマニュアル化して情報共有
「知らない=劣っている」という構図をなくす。
③ 1on1面談で不満や不安を聞く
心理的安全性は“対話”から生まれる。
④ 失敗報告は減点対象にしない
ミスを隠す文化を断ち切る。
⑤ 朝礼で感謝や称賛を伝える時間を作る
承認欲求が満たされれば、人は他人を下げる必要がなくなる。
いわゆる チームビルディングを意識したマネジメント だ。
すると、3か月ほどで明らかな変化が起きた。
- 報告件数は増え、クレームは減少
- 新人が自分から提案するようになった
- あれほど多かったマウント発言がほぼ消えた
一番驚いたのは以前いちばん高圧的だったベテランが誰よりも協力的になったことだ。
人は環境が変わるだけで、ここまで変わる。
そう実感した瞬間だった。
6.マウントが起きない職場を作る5つのポイント
経験と資料を踏まえて、効果が高かった施策をまとめる。
① 評価基準を明確にする
曖昧な評価は不安を生み、比較や攻撃を誘発する。
② 情報をオープンにする
情報格差はマウントの温床になる。
「知らない人が悪い」という空気をなくす。
③ 役割分担を明確にする
役割が曖昧だと、無駄な競争が生まれる。
責任と権限を明確にすることで、協力が生まれる。
④ 上司が弱みを見せる
完璧な上司より、相談できる上司の方が心理的安全性は高まる。
「弱みを見せる」は、チームの安心感を作る最強の行動だ。
⑤ 感謝と承認を文化にする
承認欲求が満たされれば、人は他人を下げる必要がなくなる。
小さな「ありがとう」が空気を変える。
7.まとめ
マウントは「困った人」の問題ではない。
「困った環境」が人をそうさせているだけ だ。
だからこそ必要なのは個人への注意ではなく組織としてのマネジメント改善 である。
心理的安全性の高い職場では人は戦わず、助け合う。
それが結果的に生産性も満足度も高い“究極の職場環境”につながっていく。
職場環境を変える第一歩は今日の小さな仕組み作りから始まる。
あなたのチームから、ぜひ試してみてほしい。